日本臨床細胞学会雑誌
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症例
腹水細胞診陽性であった成人型顆粒膜細胞腫の 3 例
目黒 史織安田 政実細沼 佑介加藤 智美中村 勝鎌倉 靖夫永田 耕治清水 道生
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2013 年 52 巻 3 号 p. 242-247

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抄録

背景 : 顆粒膜細胞腫は卵巣の性索間質性腫瘍の代表的な組織型で, ホルモン産生腫瘍として知られている. 日常診断において顆粒膜細胞腫に遭遇する頻度は少なくはないものの, 腹水に出現した顆粒膜細胞腫の細胞像をみる機会はまれと考えられる. われわれは腹水細胞診陽性であった成人型顆粒膜細胞腫を 3 例経験し, その細胞像を比較検討した.
症例 1 : 46 歳, 女性. 両側卵巣上皮性悪性腫瘍疑い. 術中迅速腹水細胞診では類円形の核を有する N/C 比の高い異型細胞のシート状集塊が認められた. 腫瘍細胞と考えられたが組織型の推定は困難であった.
症例 2 : 70 歳, 女性. 右卵巣上皮性悪性腫瘍疑い. 腹水細胞診では異型細胞のマリモ状集塊が認められ腺癌と診断された.
症例 3 : 36 歳, 女性. 右卵巣子宮内膜症性嚢胞疑い. 腹水細胞診では少量の異型細胞が認められたが診断は困難であった.
結論 : 腹水中の成人型顆粒膜細胞腫の腫瘍細胞には, 類円形の核, 微細∼粗顆粒状のクロマチン, 高い N/C 比, 多彩な構築といった細胞像が見出された. 腺癌や内分泌腫瘍との鑑別には, 細胞の大きさや形が均一で, クロマチン増量は目立たず, 単調に出現している点がポイントになると考えられた.

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© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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