日本臨床細胞学会雑誌
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症例
悪性腎類上皮血管筋脂肪腫の 1 例
山口 直則今村 好章河田 尚子太田 諒岸本 光夫
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2013 年 52 巻 3 号 p. 237-241

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抄録
背景 : 悪性腎類上皮血管筋脂肪腫の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 48 歳, 女性. 肉眼的血尿を主訴に来院し, 腹部 MRI にて右腎上極に辺縁平滑な造影効果の乏しい約 4.5 cm 大の腫瘤を指摘され, 腹腔鏡下右腎摘除術が施行された. 結節性硬化症の合併や悪性黒色腫の既往はない. 腫瘍捺印細胞診標本では多形性に富む異型類上皮細胞が認められた. 大型の核小体や核内封入体に加え, 異常核分裂像も観察された. 細胞質は比較的豊富で, 顆粒状を呈していた. 免疫細胞化学的に腫瘍細胞は melanosome と Melan-A に陽性を示した. 組織学的には好酸性の豊富な細胞質をもつ大型多稜形類上皮細胞が髄様に増生していた. 硝子化した血管成分が混在し, 凝固壊死や静脈侵襲が確認された. 免疫組織化学的にはメラノサイトや筋原性のマーカーが陽性で, S-100 蛋白および上皮性マーカーは陰性であった. 術後, 多発性肺転移が確認され, 悪性腎類上皮血管筋脂肪腫と考えられた.
結論 : 本例の捺印細胞診では腎細胞癌亜型や悪性黒色腫などとの鑑別が問題となるが, 顆粒状細胞質を有する類上皮細胞が主体で, 細胞の多形性が目立つ場合は腎類上皮血管筋脂肪腫を念頭におき, 免疫細胞化学的検索を積極的に実施することが, 早期診断への糸口となると考えられた.
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© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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