抄録
背景 : 卵巣原発類内膜腫瘍の多くは子宮内膜症に合併し, 形態的にも子宮内膜腫瘍に類する腫瘍群である. 類内膜腺癌の頻度が高く, 間質浸潤を欠く境界悪性類内膜腫瘍はまれである. われわれが経験した 1 例について捺印細胞像を中心に報告する.
症例 : 43 歳, 女性. 右卵巣に充実性腫瘤を含む 嚢胞性病変を認め, 卵巣癌Ia 期疑いにて子宮・両側付属器切除が施行された. 嚢胞内に発育する充実性腫瘤は豊富な morule を伴う境界悪性類内膜腫瘍で, 子宮内膜にもこれに類する異型内膜増殖症を認めた. 卵巣腫瘍の捺印細胞においては, 辺縁に腺上皮を伴う morule 由来の重積細胞集塊を多数認めた.
結論 : 卵巣腫瘍の捺印細胞診における異型を伴う腺上皮と morule の存在は, 前癌病変や低悪性度の類内膜を考慮すべき所見と考えられた.