抄録
背景 : われわれは, 子宮筋腫と子宮平滑筋肉腫の鑑別診断目的に経子宮頸管的針生検を行っている. 今回, 針生検標本の捺印細胞診が診断に有用であった症例を経験したので, その細胞像を報告する.
症例 : 59 歳, 女性. 血尿を主訴に当院泌尿器科受診. 腹部 CT にて約 10 cm 大の変性子宮筋腫が疑われ当科紹介となった. MRI, FDG-PET で子宮肉腫を否定できなかったため経子宮頸管的針生検を行った. 核異型を伴う紡錘形細胞の増生がみられ, 核分裂指数 5, 凝固壊死は認めなかったが, 子宮平滑筋肉腫が強く疑われた. 捺印細胞診では, 壊死性背景に, 核クロマチン増量した紡錘形異型細胞が散在性に多数出現し, 核分裂像もみられ, 子宮平滑筋肉腫を疑う所見であった. 単純子宮全摘出術, 両側付属器摘出術を施行し, 摘出標本の病理組織より子宮平滑筋肉腫 stageIb 期と診断した.
結論 : 針生検は子宮筋層病変の診断に有用な検査法ではあるが, 異常の程度の最も強い病変部を採取できるとは限らないため過小評価になりやすい. 捺印細胞診を併用するとプレパラートへの「出現細胞数の多寡」という新規情報が加わり, 有用な鑑別所見となる可能性が示唆された.