抄録
背景 : スエヒロタケ (Schizophyllum commune, S. commune) は, 朽ち木などで頻繁にみられるキノコ (真正担子菌) の一種である. キノコは真菌の仲間だが, ヒトに感染・定着するキノコはまれである. S. commune によるアレルギー性気管支肺真菌症の 1 例を報告する.
症例 : 48 歳, 女性. 約 2 週間前より発熱・胸痛, 右肺中葉の肺炎, B4気管支腔を閉塞する粘液栓を認めた. 血液検査では CRP 12.58 mg/dl, IgE 5442.6 IU/ml と高値であり, 閉塞性肺炎の原因検索のため気管支鏡下生検・気管支ブラシ細胞診が行われた. 組織細胞学的に, 粘液, 好酸球および Charcot-Leyden 結晶が認められる背景に, アスペルギルスと比較し, 細く平滑で分岐の形状が異なる菌糸が認められた. また, 菌糸の隔壁部にコブ状のふくらみが散見され, S. commune に特有のかすがい結合 (clamp connection) を認めた.
結論 : S. commune の菌糸はアスペルギルスに酷似し, 鑑別は容易でない. しかし, 細胞診では特徴的なかすがい結合が観察しやすいため, 本菌感染症を疑い次なる精査に繋がると考えられた.