日本臨床細胞学会雑誌
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症例
胸水細胞診が有用であった心臓原発悪性リンパ腫の 1 例
古屋 能孝齋藤 生朗宅見 智晴浦田 育美高橋 聡子高清水 恵子山下 茂郎瀧 和博
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2014 年 53 巻 1 号 p. 23-27

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抄録
背景 : 心臓原発腫瘍の頻度は少なく, 心臓原発悪性リンパ腫 (primary cardiac lymphoma, 以下, PCL) は極めてまれである. 今回, 胸水貯留を伴った PCL の 1 剖検例を経験したので報告する.
症例 : 80 歳代, 男性. 心不全疑いにて近医より当院紹介受診. CT にて右房に腫瘍を認めた. 施行された胸水細胞診では異型細胞は孤立散在性に認められた. 中~大型で裸核状を呈していたため, 悪性リンパ腫を推定した. 剖検では右房を主座とし, 心臓周囲の心嚢内腔を埋めるように充実性腫瘤を認めた. 組織学的に大型類円形, 異型の目立つ腫瘍細胞がびまん性に浸潤していた. 腫瘍細胞は, 免疫組織学的に CD20 (+), CD79a (+), CD3 (−), CD5 (−), CD10 (−) で, Diffuse large B-cell lymphoma, NOS と診断された. リンパ節や心臓以外の臓器には悪性リンパ腫の病巣は明らかでなく, PCL と考えた.
結論 : PCL は予後不良で, 組織生検のみでは確定困難な場合もある. 画像検査に加え細胞診の併用が早期診断の一助となりうると考えられた.
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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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