日本臨床細胞学会雑誌
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症例
胸水中に出現した胸壁原発 undifferentiated pleomorphic sarcoma with giant cells の 1 例
貞嶋 栄司河原 真弓子木下 準子山崎 加奈子貞嶋 奈津入江 康司
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2014 年 53 巻 1 号 p. 35-40

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抄録

背景 : Undifferentiated pleomorphic sarcoma は, 2002 年の軟部腫瘍 WHO 分類で確立された非上皮性悪性腫瘍で, 中高年者の四肢や後腹膜に好発し, 胸壁を原発巣とすることはまれである. 今回われわれは, 胸水中に出現した胸壁原発の undifferentiated pleomorphic sarcoma with giant cells の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 70 歳代, 男性. 左背部痛を主訴に来院し, 胸膜内血腫が疑われ, 血腫除去術が施行された. 血腫内容液細胞診や胸水細胞診 (再発時) では, 重積性集塊ないし散在性に類円形~紡錘形の腫瘍細胞がみられ, 高度な核異型や核分裂像も散見された. また, 類円形で均一な核の破骨細胞様多核巨細胞も認めた. 病理組織学的にも類円形~紡錘形の肉腫様増生がみられ, 多形性高度の巨細胞や破骨細胞様多核巨細胞を認めた. 免疫組織化学的に腫瘍細胞は明らかな分化傾向はみられず, 破骨細胞様多核巨細胞は CD68 陽性であった.
結論 : 本腫瘍は細胞像のみでの組織型の診断は困難であるため, 複数の免疫細胞化学染色を行う必要がある.

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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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