抄録
背景 : 転移性子宮腫瘍は比較的まれである. 今回われわれは, 子宮頸部細胞診, 組織診により S 状結腸癌の子宮転移が疑われ, 子宮全摘出術により良好な予後を得られた 1 例を経験したので報告する.
症例 : 70 歳, 女性. 子宮脱にて経過観察中に S 状結腸癌と診断され, 低位前方切除術が施行された. 手術より 10 ヵ月後, 帯下にて婦人科受診したところ子宮頸管内に腫瘍を認めた. 腫瘍の細胞診, 組織診所見から S 状結腸癌の子宮転移が疑われ, 拡大子宮全摘出術を施行した. 摘出標本の免疫組織化学所見は CK7 (−), CK20 (+), p53 (+), ER (−), PgR (−), MUC2 (+), CDX2 (+) であったことから, S 状結腸癌を原発とする転移性の子宮癌と診断した. 術後 5 年を経過し現在までに再発を認めていない.
結論 : 大腸癌の既往があり帯下や不正性器出血のある症例では, 子宮への転移も考え精査することが必要である. 細胞診にて転移性腫瘍が疑われた際には, 既往の大腸癌と子宮腫瘍の組織診所見の比較や免疫組織化学染色によりある程度, 原発性か転移性かの診断が可能であり, 治療方針を決定するうえで役に立った. 本例は子宮転移術後 5 年を経過しており, 転移性であっても単発であれば積極的に手術を行うことも可能であると考える.