日本臨床細胞学会雑誌
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症例
子宮内膜細胞診を契機に腹腔鏡手術を用い診断した腹膜播種を伴う原発性卵管上皮内腺癌の 1 例
岡本 三四郎高澤 豊野村 秀高山本 阿紀子的田 眞紀尾松 公平加藤 一喜竹島 信宏
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2014 年 53 巻 2 号 p. 126-131

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抄録
背景 : 原発性卵管癌は術前診断が難しく, 多くの症例では術後の病理組織検査にて確定診断が得られる. 本疾患発見における細胞診の有用性は古くから知られているが, 近年その診断に腹腔鏡手技も有用であるとの報告も散見される. 今回われわれは, 原発巣が上皮内腺癌でありながら腹膜播種を伴う卵管癌の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 78 歳女性, 2 経妊 2 経産, 45 歳閉経. 家族歴で母親と妹に乳がんの治療歴あり. 既往歴は, 69 歳時に右乳がんに対して右乳房切除術および腋下リンパ節郭清を施行されていた. 乳がん術後経過観察中, 下腹部膨満感を自覚し, 前医を受診したところ腹水を認め, 腹水細胞診を施行し, 腺癌の診断で当院紹介受診となった. 子宮頸管細胞診で異常細胞は認めなかったが, 子宮内膜吸引細胞診では腺癌細胞を認めた. 細胞診所見は, 背景が比較的きれいな中に異型細胞を認め, 子宮内膜組織診を施行したが悪性所見は認めないため, 子宮外病変が考えられた. 一方, 細胞所見では, 既往の乳がん由来か否かは鑑別が困難であった. 原発不明癌の臨床診断で, 腹腔鏡下に左付属器切除術と大網切除術を施行し, 病理組織検査で左卵管采の上皮内腺癌と診断した.
結論 : 原発巣が上皮内腺癌でありながら腹膜播種を伴う原発性卵管癌の 1 例を経験した. 今回は, 原発不明癌に対して腹腔鏡手術を用いることがその診断に有用であったが, 今後免疫細胞化学染色や FISH/CISH 法も用いて既往の乳癌と鑑別できることが期待される.
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© 2014 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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