抄録
背景 : 今回われわれは, 術前に子宮筋腫と診断されたが, 術中に後腹膜リンパ節腫大を認め, その生検および再度の子宮頸部細胞診・子宮頸管キュレットにてようやく正診にいたった進行子宮頸癌症例を経験したので報告する.
症例 : 43 歳, 女性. 下腹痛を主訴に当科を初診. 経腟超音波断層法および MRI にて骨盤に充実性の腫瘤像を認め, 子宮筋腫が疑われた. また, サイトブラシを用いた子宮頸部・頸管細胞診は陰性 (NILM) であった. 以上より子宮筋腫の術前診断にて, 腹腔鏡下手術を施行した. 術中, 腫瘤が右後腹膜腫瘤であることが判明したため開腹術に移行し, 同腫瘤の生検を施行した. 術後の病理診断は高分化型扁平上皮癌であったため, 骨盤内の後腹膜リンパ節に扁平上皮癌の転移をきたす可能性のある原発臓器を検索したが, 原発巣を同定しえず, 再度子宮頸部細胞診および子宮頸管キュレットを施行したところ, 陽性 (SCC) および扁平上皮癌の結果となり, 原発巣は子宮頸部と想定された. 本例は, 子宮頸部原発巣病変が極めて小さく, 転移リンパ節腫大が子宮筋腫と診断され, 手術されたことによって初めて診断が可能となった, 正診が困難な症例であった.