2014 年 53 巻 4 号 p. 280-285
目的 : 乳癌症例において, センチネルリンパ節の割面捺印標本に対するケラチン免疫細胞化学 (immunocytochemistry : ICC) が腫瘍細胞検出の点で通常の細胞診より優れているかどうかを検討した.
方法 : 乳癌手術 284 例, 383 リンパ節から作製された 467 サンプルのうち, one-step nucleic acid amplification (OSNA) 法で陽性であった 79 サンプルを対象とし, それらから作製された割面捺印標本に後日, Papanicolaou (Pap.) 染色および ICC を行い, OSNA 法の結果と比較した.
成績 : OSNA 法でマクロ転移であったサンプル由来の Pap. 染色細胞診と ICC では陽性一致率に差は認められなかったが, ミクロ転移であったサンプル由来では ICC のほうが陽性一致率が高く, Pap. 染色細胞診と ICC の間に有意な差が認められた (p<0.001).
結論 : ICC 標本では Pap. 染色細胞診に比べ, 腫瘍細胞の検出率が有意に高かった. ICC は術中迅速診断に応用可能であり, OSNA 法を導入していない施設では手術中のセンチネルリンパ節の転移検索に採用すべき有用な方法と考えられた.