抄録
背景 : タモキシフェン (以下 TAM) 内服中の患者に対し, 本邦では子宮内膜病変検索目的に内膜細胞診が用いられることが多い. 今回われわれが経験した症例は, 超音波検査にて内膜ポリープを認め, 内膜細胞診は陰性であったが, 切除したポリープ内部に異型増殖症を認めたため, 組織・子宮鏡所見と併せて報告する.
症例 : 症例は 40 歳代で乳癌治療後 TAM を 4 年間内服中であった. その間半年ごとに内膜細胞診と経腟超音波検査を施行していたが, 異常を認めなかった. 過多月経を認めるようになり, 経腟超音波検査により内膜ポリープと診断した. この時施行した内膜細胞診は陰性であったが, 過多月経による貧血を認めたため子宮鏡下内膜ポリープ切除術の方針とした. 子宮鏡所見はポリープとして矛盾なかったが, 摘出標本の組織結果において子宮内膜異型増殖症と診断された. この病変はポリープの表面には認められず, 内部にのみ認められた.
結論 : TAM 内服中の患者では, 内膜細胞診が陰性であっても内膜ポリープ内に異型増殖症を認める場合がある. この場合内膜細胞診や子宮鏡下の観察だけでは不十分な可能性があり, 増大するポリープは切除も考慮すべきであると考えられた.