抄録
目的 : 膀胱原発小細胞癌は全膀胱悪性腫瘍の 1%以下とまれで, 早期に遠隔転移をきたし急速に進行する予後不良な腫瘍である. 近年, 組織標本を用いた免疫染色において肺や肺以外の臓器発生の小細胞癌で kit タンパクの発現が報告されている. c-kit の発現様式を検証し, 尿細胞診での推定診断に有用な所見となりうるかを検討した.
方法 : 膀胱原発小細胞癌 4 例の臨床病理事項, 尿細胞診での腫瘍細胞の形態, 神経内分泌および上皮性マーカーを用いた免疫染色, および c-kit の発現様式を組織/尿細胞診標本で行い検証した.
成績 : 尿細胞診での細胞学的特徴は, 核の長径平均が 7.0μm の小型の腫瘍細胞が木目込み状配列を示す小集塊で出現し, 文献的にも述べられている特徴と同様であった.
免疫染色による c-kit の発現は 4 例中 2 例 (50%) が強陽性, 1 例 (25%) は中等度陽性, 1 例 (25%) は弱陽性を示した.
結論 : 尿細胞診での小細胞癌の推定は, 特徴的な腫瘍細胞形態を認識することである程度可能と考えるが, 免疫染色パネルとして, 神経内分泌マーカーのほかに, 組織標本の染色結果と相関の良い c-kit を加えることで診断がより容易になる可能性が示唆された.