日本臨床細胞学会雑誌
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調査報告
かかりつけ医療機関と連携した細胞診を用いる口腔癌検出システムの有用性に関する検討
秀島 克巳岩橋 輝明渡邊 正章管野 貴浩成相 義樹関根 浄治
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2015 年 54 巻 1 号 p. 28-34

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抄録

目的 : 口腔癌の早期発見を目的に, 細胞診を用いた口腔癌検出システムを構築した. かかりつけ医療機関との連携で運用する本システムの有用性について報告する.
方法 : 2007 年 12 月 1 日∼2014 年 7 月 31 日の 6 年 8 ヵ月間に, 島根県内のかかりつけ医療機関にて細胞診が行われた 815 名を対象とした.
成績 : 細胞診検体部位は, 歯肉 263 例 (32.3%) が最も多く, 次いで舌 259 例, 頬粘膜 145 例, 口蓋 57 例, 口唇 39 例, その他 52 例であった. 細胞診の結果は, NILM 659 例 (80.9%) が最も多く, LSIL 89 例, HSIL 20 例, SCC 41 例, 判定不能 6 例であった. これらのうち病理組織検査を行った 35 例中 29 例が悪性と診断された (82.9%). その内訳は, 25 例が病理組織学的に扁平上皮癌, 2 例は OIN (oral intraepithelial neoplasia), 1 例が OIN/CIS (carcinoma in situ), さらに 1 例は肉腫と診断され, 癌検出率は 3.6%であった.
結論 : 対策型口腔がん検診における癌検出率は 0.1%未満とされており, 本システムの有用性が示唆された.

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© 2015 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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