2016 年 55 巻 3 号 p. 160-164
背景 : 軟骨肉腫は悪性骨腫瘍の約 30%を占めるが, そのサブタイプである淡明細胞軟骨肉腫 (clear cell chondrosarcoma : 以下 CCCS) は全軟骨肉腫の約 2%といわれており, きわめてまれな腫瘍である. 今回われわれは CCCS の 1 例を経験したので, その捺印細胞像を中心に報告する.
症例 : 40 歳代, 男性. 右股関節痛の悪化にて当院受診となった. 画像検査にて右大腿骨の骨頭から頸部にかけて腫瘍を認め, 針生検が施行された. 病理組織学的に CCCS が疑われ, 右大腿骨腫瘍広範切除術が施行された.
結論 : 本例の CCCS では, 腎癌や卵巣癌の転移と鑑別を要する上皮様の淡明細胞集塊, 破骨細胞様多核巨細胞, Osteoid 類似基質, さらには通常型軟骨肉腫成分が混在して出現した. 術中迅速診断時の鑑別には, 細胞像だけでなく, 画像所見を含む臨床情報も十分に考慮する必要があるものと考えられた.