抄録
背景 : 微小乳頭型尿路上皮癌 (MPUC) は, “inside-out pattern” を示す比較的均一な小型胞巣の出現を特徴とする尿路上皮癌のまれな予後不良の亜型である. 膀胱 MPUC の 2 例を経験したので報告する.
症例 : 症例 1 ; 81 歳, 男性. 膀胱刺激症状を主訴に来院. 自排尿では, 炎症性背景のなか, 核クロマチンが粗顆粒状に増量した類円形大型核をもつ異型上皮細胞が血管軸のない乳頭状集塊を形成し, 出現していた. 結合性が良く, 腺腔様構造を形成する小型腺房様構造を示す集塊や細胞質内空胞を有する異型細胞が観察された.
症例 2 ; 76 歳, 男性. 膀胱刺激症状および血尿を主訴に来院. 自排尿では, 出血性背景のなか, 類円形大型核をもつ異型上皮細胞が, 血管軸のない乳頭状集塊を形成していた. 集塊辺縁部に細胞質がみられる “inside-out pattern” や小型腺房様構造を示す集塊を認め, 細胞質内空胞を有する異型細胞が散見された. 免疫細胞染色で, 小型腺房様構造を示す腫瘍細胞集塊辺縁部に EMA 陽性所見を認めた.
結論 : 血管軸のない乳頭状集塊, 小型腺房様構造や細胞質内空胞の存在が MPUC に特徴的な細胞所見で, これらの所見を確認することで MPUC の細胞診断がある程度可能であると考えられる. また EMA の免疫細胞化学染色で “inside-out pattern” を証明することにより, さらに診断精度が高まると考えられた.