日本臨床細胞学会雑誌
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症例
乳房部皮膚に発生した hidradenoma の 1 例
下山 玲子佐々木 志保西川 京子松井 美智代藤中 浩樹島津 宏樹伏見 博彰
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2016 年 55 巻 3 号 p. 170-173

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抄録

背景 : Hidradenoma は汗腺を起源とする良性皮膚付属器腫瘍である. 一般に皮膚腫瘍の診断は生検などにより組織学的に行われ, その細胞像を目にする機会はあまりない. われわれは穿刺吸引細胞診 (fine-needle aspiration cytology, FNA) が施行された hidradenoma の 1 例を経験したのでその細胞像を中心に報告する.
症例 : 50 歳代, 女性. 乳がんの既往があり, follow up 中, 乳房上の正中寄りの皮膚に 4.5×4.0×2.9 mm の腫瘤を認め, FNA が施行された. 背景に裸核が散見され, 重積性のある集団がみられた. 集団内部には腺腔構造や渦巻き状配列が観察された. 乳癌の再発は否定的であったが, 組織型の推定にはいたらなかった. 精査目的で腫瘍切除術が施行され, hidradenoma と診断された.
結論 : Hidradenoma の構成細胞は basal cell の性格を有し, 異型の弱い細胞が内部に不規則な方向性をもつ配列をなし, 多少なりとも腺要素を伴う. この特徴を知ることで, 細胞診でも汗腺由来の腫瘍を推定することは可能である.
その診断の際, ときに悪性腫瘍の皮膚転移との鑑別を要するが, 皮膚腫瘍への知見を深めることで誤診を避けることが可能である.

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