日本臨床細胞学会雑誌
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症例
古典的ホジキンリンパ腫結節硬化型 syncytial variant の 1 例
吉野 龍一奥 和子杉生 憲二山根 三千秋原 沙由美後藤 孝吉永野 輝明中塚 伸一
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2016 年 55 巻 4 号 p. 245-249

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抄録

背景 : Syncytial variant (SV) は古典的ホジキンリンパ腫 (CHL) 結節硬化型のまれな亜型である. 大型細胞がシート状に出現し, 上皮性腫瘍との鑑別が問題となる場合がある.

症例 : 90 歳代, 女性. 主訴は右腋窩リンパ節腫大. 乳癌のリンパ節転移を疑うも, 画像的に原発巣は認めなかった. 潜在性乳癌を疑ってリンパ節穿刺細胞診を施行したが, 判定困難であった. 確定診断のため腋窩リンパ節郭清が施行された. 郭清リンパ節の捺印標本では小型リンパ球, 好中球, 好酸球を背景に明瞭な核小体を有した大型核の細胞を孤立散在性もしくは結合性を有した集塊として認め, 上皮性腫瘍が疑われた. 組織学的には線維性硬化を伴って, 結節状, シート状の大型細胞集団を認め, lacunar 細胞を多数認めた. 免疫染色は cytokeratin (−), LCA (−), CD30 (+), CD15 (+) を示した. 以上より, 最終診断は CHL 結節硬化型 SV とした.

結論 : SV は通常型の CHL と異なり, 大型異型細胞が多数, 集塊状, シート状に出現することがある. 上皮性腫瘍の転移との鑑別がしばしば問題となるため, 本疾患の存在を念頭において, 慎重に推定診断を行う必要がある.

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