日本臨床細胞学会雑誌
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症例
対側乳腺に微小浸潤癌を伴った乳腺発生 Rosai-Dorfman 病の 1 例
水口 聖哉中野 万里子寺内 利恵竹中 美千穂黒瀬 望湊 宏野島 孝之道合 万里子
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2016 年 55 巻 5 号 p. 329-333

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抄録

背景 : Rosai-Dorfman 病 (RDD) は, 無痛性の両側頸部リンパ節腫脹を特徴とする原因不明のまれな組織球増殖性疾患である. 今回われわれは, 乳腺炎との鑑別が困難であった RDD の 1 例を報告する.

症例 : 70 歳代, 女性. 右乳腺に無痛性腫瘤を自覚し, 当院を受診した. マンモグラフィーにて, 両側乳腺に非対称性陰影を認めたため, 穿刺吸引細胞診 (FNAC) と針生検が施行された. 右乳腺腫瘤の FNAC では, 赤血球や炎症細胞を背景に大型組織球が散見され, 細胞質内に血球が取り込まれた emperipolesis や血球周囲の halo を認めた. 摘出生検にて RDD と診断された.

結論 : 乳腺炎を思わせる炎症細胞像をみたときは, 背景にみられる所見にも留意すべきで, 大型組織球の出現と emperipolesis は RDD を推定するうえで重要である.

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