日本臨床細胞学会雑誌
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症例
外陰再発悪性黒色腫再発診断に外陰擦過細胞診が有用であった 1 例
朱 丞華戸澤 晃子大原 樹近藤 春裕細沼 信示大熊 克彰木口 一成鈴木 直
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2016 年 55 巻 5 号 p. 334-339

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抄録

背景 : 婦人科領域の悪性黒色腫は悪性黒色腫の 3~7%, また外陰悪性黒色腫は外陰悪性腫瘍の 2~9%とまれな腫瘍である.

今回われわれは外陰悪性黒色腫が, 術後外陰部, 腟部および尿道に局所再発し擦過細胞診にて診断が可能だった症例を経験したので報告する.

症例 : 症例は 64 歳の女性, 4 経妊 2 経産. 悪性黒色腫の診断で, 外陰部腫瘤切除と両側鼡径リンパ節郭清術施行. 術後補助療法として, DAVFeron 療法を 6 コース施行した. 初回治療から 25 ヵ月後に左小陰唇に再発を疑う黒色病変を認め擦過細胞診を施行した. 細胞所見は, 背景清, 少数の孤立散在性異型細胞が認められた. 異型細胞は, 類円形~紡錘形で多核異型細胞もみられた. 核は大小不同を認め, クロマチンは増量していた. 核縁肥厚や核小体は目立たなかった. 一部の異型細胞には, 細胞質にメラニン顆粒がみられた.

結論 : 外陰原発の悪性黒色腫は組織悪性度が高く, 予後不良な疾患である. 本例では無症状で肉眼やダーモスコープでの診断が困難であったが, 擦過細胞診において再発診断が可能であった. 低侵襲である擦過細胞診は悪性黒色腫の再発診断に有用であると考えられる.

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© 2016 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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