2016 年 55 巻 5 号 p. 345-349
背景 : バリウムを用いた胃がん検診が広く行われており, そのまれな偶発症として誤嚥がある. バリウム誤嚥後, 異なる経過で採取された細胞診を比較しマクロファージ内の結晶の経時的変化について考察する.
症例 : 症例 1 ; 74 歳, 女性. 胃透視施行直後に撮影された胸部 X 線で少量のバリウム誤嚥を指摘され約 3 時間後に気管支肺胞洗浄液 (BALF) の細胞診検査が施行された.
症例 2 ; 69 歳, 男性. 胃癌検診でバリウム服用した 3 日後に全身倦怠感が出現し, 15 日後に胸部 X 線画像で大量のバリウム誤嚥を指摘され, 24 日後に BALF の細胞診検査と経気管支的肺生検 (TBLB) が施行された.
いずれの症例においても背景およびマクロファージ内に複屈折性を示す不定形~立方状結晶を認めた. 症例 1 に比して症例 2 では多くの結晶がマクロファージ内に取り込まれ, 一部で結晶構造が不明瞭化し複屈折性が失われていた.
結論 : 誤嚥したバリウムの多くは長期間にわたり肺胞内および間質中に残存するが, 一部はマクロファージにより貪食される.