日本臨床細胞学会雑誌
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症例
左鼻腔に発生した嗅神経芽細胞腫 (olfactory neuroblastoma) の 1 例
成富 真理畠 榮物部 泰昌日野 寛子高須賀 博久
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2017 年 56 巻 1 号 p. 27-32

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抄録

背景 : 嗅神経芽細胞腫は鼻腔上部の嗅上皮部より発生するまれな腫瘍である. 今回われわれは嗅神経芽細胞腫の 1 例を経験したので細胞像を中心に報告する.

症例 : 50 歳代, 男性. 繰り返す左鼻出血を主訴に, 当院紹介受診. 左鼻腔に 22 mm 大の充実性腫瘤を認め, 内視鏡的摘出術が施行された. 術中迅速組織標本および捺印標本を作製し診断した. 捺印標本では, 小型円形で N/C 比大を呈した細胞が疎な集塊から散在性に多数認められた. 細胞境界は不明瞭で, 核は円形~楕円形, クロマチンはごま塩状であった. 一部にロゼット様構造や神経細線維基質が認められた. 組織標本では, 結合組織内に小型円形細胞がびまん性あるいは胞巣状に浸潤増殖していた. 腫瘍細胞は捺印標本と類似していた. 一部で Homer Wright 型ロゼット形成が認められた. 免疫組織化学的に, synaptophysin 陽性, calretinin は一部陽性, S100 は支持細胞に陽性で, 嗅神経芽細胞腫と診断した.

結論 : 鼻腔で小型円形細胞が多数みられた場合, 臨床情報や免疫組織化学と併せて診断する必要がある.

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