日本臨床細胞学会雑誌
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症例
気管支肺胞洗浄液中にアスベスト小体を認めたい草染土塵肺の 1 例
原武 晃子伊藤 園江塚本 孝久長山 大輔西田 直代檜垣 浩一木村 芳三
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2017 年 56 巻 4 号 p. 178-181

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抄録

背景 : 40 年以上にわたりい草栽培に従事していた農業の男性に発生したい草染土塵肺の 1 例を経験したので, その細胞像を中心に報告する.

症例 : 70 歳代, 男性で前立腺癌の既往あり. 持続する咳嗽の精査目的のため当院呼吸器内科を受診し, 画像検査にて異常陰影を認めたため, 前立腺癌の転移も念頭におき気管支肺胞洗浄液細胞診と経気管支肺生検を施行した. 気管支肺胞洗浄液細胞診では, マクロファージ主体の細胞像を呈し, アスベスト小体とマクロファージの細胞質内に遊離珪酸 (シリカ) と思われる結晶を認めた. 経気管支肺生検でも間質に炭粉沈着と結晶沈着を認めた.

結論 : 気管支肺胞洗浄液中にアスベスト小体と結晶の存在を認めたことと職業歴も考慮し, い草染土塵肺を指摘することができた.

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© 2017 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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