2018 年 57 巻 3 号 p. 169-176
背景 : 上咽頭癌は, 本邦では年間罹患数 500 例のまれな腫瘍で, 多くは進行癌で発見される. 肺小細胞癌も早期診断が困難で, 手術施行例はまれである. 喀痰検診によりⅠ期上咽頭癌が発見され, その精査中にⅠ期肺小細胞癌が診断された 1 例を経験したので報告する.
症例 : 68 歳, 男性, 喫煙指数 900. 喀痰検診 D 判定 (高度異型細胞) にて当施設を受診. 胸部 CT 検査は陰性で, 紹介病院での気管支鏡検査でも異常所見は認められなかった. 2 年後の喀痰集検が E 判定 (癌細胞) のため, 紹介病院にて内視鏡検査を再施行し, 生検組織診を行ったところ, Ⅰ期上咽頭癌が診断された. また胸部 CT 検査にて出現した肺小結節が経過観察中に増大したため, 胸腔鏡下右中葉切除術を施行した結果, Ⅰ期肺小細胞癌の診断が得られた. 細胞像ではライトグリーン好性の異型扁平上皮細胞および癌細胞が判定に有用であった.
結論 : 喀痰細胞診と胸部 CT 検査の併用による精査および経過観察は, 重複癌の早期発見に有用であった. 喀痰細胞診では黄色調のみならずライトグリーン好性の異型細胞にも留意する必要があった. 喀痰細胞診は発見が困難な頭頸部癌の早期発見に貢献できる可能性が示唆された.