2018 年 57 巻 3 号 p. 159-168
目的 : 風圧併用型フィルター転写法 (Cellprep 法) を用いた液状化検体細胞診 (LBC) の子宮頸部病変について, 細胞形態や病変検出率を明らかにする.
方法 : 2014 年 3 月~2015 年 6 月の間, 子宮頸部病変を経過観察中の 223 例を対象とした. 従来法として直接塗抹標本を作製した後, 専用ブラシで採取した細胞を Cellprep Plus®にて標本作製した. Cellprep 標本を直接塗抹標本と比較検討し, 病理組織診断と照合した子宮頸部高度病変の検出精度を求めた.
成績 : Cellprep 標本は壊死物質, 炎症性細胞, 病原微生物, および粘液などの背景情報が保存され, 細胞の大きさや形も従来法と比べて明らかな変化はみられなかった. そして従来法に用いた判定基準に準拠すると, 子宮頸部高度病変の検出感度は, 従来法と比べて Cellprep 法で有意に高く, 特異度, 陰性的中率, 陽性的中率には有意差はなかった.
結論 : Cellprep 法は, 従来の細胞判定基準を踏襲することが可能であり, 直接塗抹標本から LBC 標本に切り替える際に適した方法の一つと考えられた.