日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
症例
超音波気管支鏡ガイド下針生検 (EBUS-TBNA) で推定可能であった線維形成性小円形細胞腫瘍の 1 例
瀬戸口 知里明石 巧櫻井 聖中嶋 裕坂田 泰子関根 正喜安藤 登菅原 江美子
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 57 巻 3 号 p. 183-188

詳細
抄録

背景 : 線維形成性小円形細胞腫瘍 (desmoplastic small round cell tumor : DSRCT) は主に若年男性の腹腔内に発生するまれな腫瘍であり, 進行が早く予後不良である. 他の小円形細胞腫瘍との鑑別には, 免疫染色と遺伝子解析が有用である. 今回われわれは, 縦隔リンパ節の細胞診にて DSRCT と推定しえた 1 例を経験したので報告する.

症例 : 15 歳, 男性. 健診で胸部異常陰影を指摘され, 胸腹部 CT, PET にて肺, 肝, 腹腔内の多発腫瘤, 両肺門・縦隔・鎖骨上窩リンパ節腫大と FDG の異常集積を認めた. 縦隔リンパ節に対して超音波気管支鏡ガイド下針生検 (EBUS-TBNA) が施行され, 細胞診標本では細胞質は乏しく, 核は円形~類円形で, 軽度の核形不整やクロマチン増量を示す腫瘍細胞が認められた. 免疫細胞化学染色では cytokeratin, desmin (一部球状) が陽性, CD56, CD3, CD20 は陰性であったことから DSRCT と推測した. 鑑別疾患として横紋筋肉腫の可能性が考えられた. 同時に行われた病理組織検体を用いた FISH で EWSR1 遺伝子の分離シグナルを, RT-PCR で EWSR1-WT1 融合遺伝子を認め DSRCT と確定診断した.

結論 : 細胞形態に加えて免疫細胞化学染色を行うことによって細胞診で DSRCT を推定することが可能であった 1 例を報告した.

著者関連情報
© 2018 公益社団法人 日本臨床細胞学会
前の記事
feedback
Top