日本臨床細胞学会雑誌
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原著
Atypical glandular cells の病理組織学的転帰と臨床意義
杉本 澄美玲若狹 朋子浦 雅彦福森 恭代森 真俊太田 善夫中村 雅子金山 清二
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2018 年 57 巻 5 号 p. 245-250

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抄録

目的 : AGC は, 腺癌や内頸部上皮内癌の判定にはいたらない異型腺細胞であり, 臨床においては診断に苦慮することも多い. 今回, 当施設で AGC と判定された症例の転帰を後方視的に検討した.

方法 : 2011 年 1 月~2015 年 12 月までに当施設で AGC と判定された症例について, 組織学的転帰や臨床背景を比較検討した.

成績 : AGC は計 31 例 (0.16%) で, AGC-NOS が 22 例, AGC-FN が 9 例であった. 良性の経過は 19 例 (61.3%, AGC-NOS/AGC-FN : 17 例/2 例) で, そのうち CIN1 は 2 例 (6.5%, 2 例/0 例) であった. 悪性の経過は 12 例 (38.7%, 5 例/7 例) あり, 扁平上皮癌が 1 例 (3.2%, 0 例/1 例), AIS が 2 例 (6.5%, 0 例/2 例), 子宮頸部腺癌が 3 例 (9.7%, 2 例/1 例), 子宮体癌が 3 例 (9.7%, 1 例/2 例), 他臓器癌の転移が 3 例 (9.7%, 2 例/1 例) であった.

結論 : AGC には悪性病変が約 40%という高頻度で検出された. AGC の判定後は, 悪性疾患の可能性を念頭に置いた精密検査と慎重な follow up を要する.

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