2018 年 57 巻 5 号 p. 251-258
目的 : HR-HPV 感染に特徴的な細胞像の確立を目的とした.
方法 : 対象は HR-HPV 検査を併用した子宮頸部細胞診で ASC-US または LSIL と診断された, HR-HPV (+) 30 例, HR-HPV (−) 24 例の計 54 例とした. 標本中の多核細胞の核圧排像と koilocyte をカウントし, 画像解析ソフトを用いて核クロマチンの染色性と分布を評価した.
成績 : 二核細胞核圧排型は, HR-HPV (+) 群で有意に多くみられた. 二核細胞非核圧排型, 多核細胞, koilocyte の出現数に有意差はみられなかった. 核クロマチンについて, 染色性に有意差はみられなかったが, HR-HPV (+) 群で核辺縁が濃染する傾向がみられた.
結論 : HR-HPV 感染と, 1) 核圧排型二核細胞の出現, 2) RD 値における核クロマチン辺縁型の出現との関連性が示唆された.