2018 年 57 巻 6 号 p. 300-306
背景 : 十二指腸乳頭部の大細胞神経内分泌癌 (LCNEC : large cell neuroendocrine carcinoma) は予後不良なまれな腫瘍であり, 細胞学的診断が困難であることが多い. 液状化検体標本 (LBP : liquid based preparation) が術前診断に有用と考えられた 1 例を経験した.
症例 : 70 歳, 男性. 黄疸を主訴に当院を受診した. 乳頭部癌が疑われ, 胆管擦過細胞診が施行された. 直接塗抹標本では粘液含有性の異型細胞と低分化腺癌を疑う N/C 比の高い小型異型細胞を認めた. 後者の細胞は円~類円形核に小型核小体を認め, 細顆粒状クロマチンは不規則に分布していた. ロゼット様構造や核分裂像が散見された. 切除標本では LCNEC と診断された. 術後施行した LBP での免疫染色では, 低分化腺癌を疑った細胞に神経内分泌マーカーが陽性を示した.
結論 : 十二指腸乳頭部 LCNEC は肺 LCNEC と同様の細胞所見を示すことが示唆されたが, 低分化腺癌との鑑別が困難であった. 胆管擦過細胞診に LBP を併用することは, LCNEC の術前診断に有用であると考えられた.