日本臨床細胞学会雑誌
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症例
頸部リンパ節に発生した濾胞樹状細胞肉腫 follicular dendritic cell sarcoma の 1 例
玉城 真太笹栗 毅和安部 拓也西山 純司立岩 友美豊嶋 憲子奥薗 学
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2019 年 58 巻 6 号 p. 266-271

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抄録

背景 : 濾胞樹状細胞肉腫 (follicular dendritic cell sarcoma, 以下 FDCS) は, リンパ濾胞内に存在する濾胞樹状細胞が腫瘍性増殖を示したものである. まれな腫瘍であることから, その細胞学的な診断は難しい. 今回, リンパ節に発生した FDCS の 1 例を経験したので, その細胞学的所見を中心として報告する.

症例 : 60 歳代, 女性. 左頸部腫瘤が認められ, 当院紹介受診した. 穿刺吸引細胞診では, 結合性に乏しい細胞境界不明瞭な異型細胞が集塊状に出現していた. 細胞質は豊富で空胞状であり, 核は類円形〜楕円形で核膜は薄く, 繊細なクロマチンと大型明瞭な核小体を有していた. 低分化癌を疑ったが組織型の推定は困難であった. 組織学的にはリンパ節内において, 上皮様細胞が充実胞巣状に増殖する像や紡錘形細胞が束状, 渦巻き状に増殖する像を認め, 小型リンパ球が介在していた. CD21 陽性などの免疫組織化学染色の結果と併せ, 頸部リンパ節原発の FDCS と診断された.

結論 : 本例で認めた細胞学的特徴は FDCS を推定するうえで有用な所見と考えられた.

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© 2019 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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