日本臨床細胞学会雑誌
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症例
子宮内膜細胞診陽性のみを呈した腹膜漿液性癌の 1 例
黒須 博之山崎 龍王小林 織恵小林 弥生子櫻井 うらら梅澤 聡
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2020 年 59 巻 4 号 p. 181-185

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抄録

背景 : 卵巣癌・卵管癌・腹膜癌は早期診断・治療が難しく, 約半数が Stage Ⅲ, Ⅳ期で発見される. 子宮内膜細胞診のみ陽性で, 画像検査では病変を指摘できず, 術中に腹膜漿液性癌と診断した 1 例を報告する.

症例 : 54 歳, 未閉経, 5 妊 4 産. 検診で子宮内膜細胞診疑陽性となり近医を受診し, 再検で子宮内膜細胞診陽性となり当院紹介となった. 子宮内膜組織診を繰り返し施行したが, 異常所見は認めなかった. 1 年後に不正性器出血を認め当院再診となり, 子宮内膜細胞診で再度陽性となった. 子宮内膜組織診では癌細胞を認めず, MRI, PET-CT, 子宮鏡検査では明らかな病巣を指摘できなかった. 4 ヵ月後の子宮内膜細胞診再検でも陽性となり, 明らかな原発病変は指摘できなかったが, 子宮体部漿液性癌の可能性を考え, 手術療法を施行した. 開腹時, 両側卵巣表面に砂粒状の病変を認め, 組織診にて high-grade serous carcinoma の診断となった.

結論 : 子宮内膜細胞診異常が, 卵巣癌・卵管癌・腹膜癌の発見の契機となる場合がある. 画像検査で病巣の特定が困難な場合では, 診断的な手術療法も含めた治療方針の検討が必要であると考えられた.

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