日本臨床細胞学会雑誌
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症例
成人に発生した腎ラブドイド腫瘍の 1 例
荒川 文子田島 秀昭若林 僚小川 勝當銘 良也石田 剛
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2020 年 59 巻 4 号 p. 186-191

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抄録

背景 : 腎ラブドイド腫瘍 (rhabdoid tumor of the kidney : RTK) は乳児期に好発するきわめて予後不良でまれな悪性腫瘍で, ラブドイド細胞の出現を特徴とし, 免疫染色では Cytokeratin と Vimentin に陽性で INI1 は陰性である. RTK の成人症例を経験したので報告する.

症例 : 33 歳, 女性. CT で左腎に径 14 cm の腫瘤がみられ, 腎腫瘍摘除術施行. 摘出腫瘍の割面捺印標本で, 多数の中等大から大型の異型細胞が散在性に認められ, 腫瘍細胞の結合性は弱かった. 核は偏在傾向であり, 類円形から軽度不整形の核を有し, 核小体は腫大し明瞭であった. 細胞質内の封入体様構造は, パパニコロウ染色やギムザ染色では不明瞭であったが, HE 染色ではエオジンに濃染し認識しやすかった. 腎発生の腫瘍で, 組織学的にはラブドイド細胞を含む異型細胞が出血と壊死を伴いびまん性に増殖していた. 免疫染色で腫瘍細胞は Cytokeratin, Vimentin, EMA, Neurofilament に陽性, INI1, Desmin, Myogenin は陰性であった. 以上より RTK と診断した.

結論 : ラブドイド細胞にみられる硝子様好酸性細胞質内封入体様構造は HE 染色標本で, 認識しやすい. 非常にまれな腫瘍だが, きわめて予後不良で迅速な診断が求められることから, 推定診断には, 発生部位, 詳細な細胞所見と免疫染色に加え, HE 染色の併用が望ましいと考える.

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