日本臨床細胞学会雑誌
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原著
液状化検体細胞診を用いたセルブロック法の核酸品質の解析と保管への影響
安倍 秀幸河原 明彦貞嶋 栄司田中 良太村田 和也髙瀬 頼妃呼牧野 諒央吉田 友子福満 千容篠田 由佳子内藤 嘉紀秋葉 純
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2021 年 60 巻 2 号 p. 102-109

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抄録

目的 : 液状化検体細胞診 (LBC) を用いたセルブロック (CB) 法における核酸品質を解析するとともに LBC-CB の保管における核酸品質の影響についても調査した.

方法 : 2020 年 1 月から 3 月までの期間で, 体腔液細胞診で肺癌および卵巣癌と悪性診断された 19 例を対象に LBC-CB の核酸品質を解析した. また, 2016 年から 2019 年の期間で LBC-CB 保管における核酸品質の影響について調査した.

成績 : LBC 検体から作製した CB 標本の細胞形態は良好であり, LBC-CB 切片表面の面積は DNA 量に関連性を認めた (r=0.808). また, 対象期間の検体において, DNA integrity number (DIN) 値が解析可能であった症例は 16 例 (84.2%) みられ, DNA の品質は比較的よく保たれていた. これらの症例において検体受取後から LBC-CB 作製までの検体保存日数と DIN 値に明らかな関連性はみられなかったが (r=−0.176), LBC-CB は長期保管により DNA の品質低下を及ぼすことが明らかとなった (p<0.001).

結論 : LBC-CB の核酸品質は良好であるため, 十分な DNA 量の確保によりさまざまな遺伝子検査への応用が期待できると考える.

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© 2021 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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