日本臨床細胞学会雑誌
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症例
転移性乳癌との鑑別に苦慮した, 腋窩部の皮下組織に発生した顆粒細胞腫の 1 例
津幡 裕美竹中 美千穂中野 万里子熊谷 泉那寺内 利恵山下 学塩谷 晃広黒瀬 望山田 壮亮野口 美樹
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2021 年 60 巻 5 号 p. 266-271

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抄録

背景 : 顆粒細胞腫は Schwann 細胞由来と考えられている, 比較的まれな良性軟部腫瘍で, 全身諸臓器に発生する. 今回われわれは, 転移性乳癌との鑑別が困難であった腋窩部皮下に発生した顆粒細胞腫の 1 例を経験したので報告する.

症例 : 52 歳, 女性. 47 歳時に右外上部 (C 区域) に発生した浸潤性乳管癌 (硬性型) に対し乳房部分切除術とセンチネルリンパ節生検, 術後放射線療法・内分泌療法を受けた. 5 年後, 右腋窩部に径 1.0 cm 大の腫瘤が出現し, 乳癌のリンパ節再発が疑われた. 穿刺吸引細胞診にて, 粗大で豊富な細胞質内顆粒を有した紡錘形細胞が, 少数出現していた. アポクリン化生細胞, アポクリン癌との鑑別が困難であったが, 針生検で, 皮下組織の顆粒細胞腫と最終診断された.

結論 : 大型で顆粒状の細胞質が特徴的な顆粒細胞腫は, 全身どの臓器にも発生しうることから, 鑑別診断の一つとして知っておくべきである. 本例は, 外科的手技や放射線照射に伴う外傷が顆粒細胞腫の発症に関与した可能性もある.

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