2021 年 60 巻 6 号 p. 344-352
背景 : 肉腫様型浸潤性尿路上皮癌は膀胱癌の 0.6%を占めるとされているが, 尿管癌ではさらにまれである. 今回, 術前尿細胞診で肉腫成分が出現していた右尿管原発肉腫様型浸潤性尿路上皮癌について報告する.
症例 : 67 歳, 男性. 肉眼的血尿を主訴に近医を受診したところ, CT で右尿管に結節影を指摘され, 精査加療目的に当院受診となった. 尿細胞診で集塊状あるいは孤在性の異型細胞を認め, 陽性と判定されたため, 右腎尿管摘出術が施行された. 手術材料では尿路上皮癌成分とともに肉腫様成分を認め, 右尿管原発肉腫様型浸潤性尿路上皮癌と診断された. 細胞診における集塊状・孤在性異型細胞および組織診における尿路上皮癌成分と肉腫様成分のいずれも免疫染色で GATA3 と p63 が陽性であった.
結論 : 肉腫様型浸潤性尿路上皮癌は尿路上皮癌の中でも予後不良な一群であり, 正確な病理診断が求められる. 尿細胞診で異型の強い孤在性の細胞を多数認めた際には GATA3 と p63 の染色を行い, 肉腫様型浸潤性尿路上皮癌の可能性を考えることが肝要である.