2022 年 61 巻 2 号 p. 116-121
背景:多核巨細胞は病的意義や診断的意義を有する場合と非特異的な場合があるが,今回われわれは,術前穿刺吸引細胞診にて多核巨細胞が多数出現する特異な細胞像を示したびまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)の 1 例を経験したので報告する.
症例:10 歳代,男性.2 ヵ月前に左頸部の腫瘤を自覚.エコー検査では,左頸部耳下腺周囲に境界明瞭な分葉状腫瘤を認め,悪性リンパ腫や神経鞘腫などが疑われた.穿刺吸引塗抹標本では,核片貪食組織球や 10 核以上の多核巨細胞が多数出現しており,一部の細胞質にリンパ球の emperipolesis 様所見が認められた.頸部リンパ節部分生検の術中迅速組織診断では,多数の組織球の出現に加え,細胞診同様,リンパ球の emperipolesis 様所見を認め,リンパ増殖性疾患と迅速診断された.永久病理診断では,背景に大型で核形不整を呈する CD20 陽性異型リンパ球のびまん性増殖を認め,DLBCL と診断された.なお,S-100,CD1a は陰性であった.
結論:細胞診断上の多核巨細胞の診断的意義は明確にはできなかった.しかし,DLBCL 症例においても多数の多核巨細胞や Rosai-Dorfman 病に類似した emperipolesis 様所見を示す多核巨細胞が出現することが示された.