2022 年 61 巻 4 号 p. 238-242
目的:唾液腺原発粘表皮癌は唾液腺悪性腫瘍の中で最も頻度が高いが,組織学的悪性度により細胞形態が異なり細胞診断が難しいものの一つである.今回われわれは粘表皮癌の細胞診細胞所見と組織の悪性度,ミラノシステム診断カテゴリーとの相関について解析を行い,後方視的にミラノシステムの有用性について検討した.
方法:1983~2019 年に日本大学松戸歯学部付属病院にて頭頸部外科,口腔外科を受診し穿刺吸引細胞診または術中捺印細胞診を行い,病理組織学的に唾液腺原発粘表皮癌と診断された 18 例を対象とした.
成績:18 例の平均年齢は 43.4 歳(19~73 歳)であったが,低,中,高悪性度例はそれぞれ 39.2 歳,46.3 歳,63.5 歳と悪性度が高くなるに従い年齢も上がった.18 例中 11 例は粘表皮癌,3 例は粘表皮癌疑いと診断され,その細胞像はいずれも中間細胞集塊中に粘液産生細胞が散在してみられる特徴的所見を示した.悪性度別にミラノシステム診断を行うと,高悪性度例は「高悪性」に,中悪性度例は「悪性」と「SUMP」に,低悪性度例は「低悪性」,「悪性」,「悪性疑い」,「AUS」に判定された.
結論:粘表皮癌の細胞診断にミラノシステムを用いることは組織学的悪性度評価に有用であった.