2022 年 61 巻 4 号 p. 243-250
目的:尿細胞診標本作製法の標準化を図り「診断精度」の客観的な評価を得ることを目的に,標本作製法の違いによる当院における「診断精度」の検討を行った.
方法:過去 2 年間の検体を引きガラス法(W 法),サイトスピン法(CS 法),BD サイトリッチ法(CR 法)で比較検討した.感度は組織診で悪性が確認された検体,特異度は組織診で良性が確認された検体と臨床的陰性を含む検体,悪性リスクの解析は「泌尿器細胞診報告様式 2015」に基づき全尿検体を用いた.
成績:CS 法,CR 法の感度は 90%以上と W 法の 65%と比べ高感度を示した.組織診で良性が確認された検体を用いた特異度では CS 法と比べ CR 法で低くなった.臨床的陰性検体を含めると 3 法とも 95%以上となり有意差はなかった.尿細胞診陰性判定検体中の悪性リスクは全尿検体群で 5%以下,悪性判定検体中の有組織診断尿検体群では 80%以上と全尿検体群の 60%より相対リスクは高かった.
結論:CS 法と CR 法では W 法と比べ診断精度が向上した.CR 法など操作手順が厳格な方法を用いた検体標本作製法を用いることにより,「診断精度」の客観的な評価が可能となり尿細胞診断の向上につながると考えられる.