日本臨床細胞学会雑誌
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症例
多分葉核が目立った PEL-like lymphoma と考えられた 1 例
水口 聖哉湊 宏黒川 綾子大西 博人新谷 慶幸吉谷 久子片柳 和義車谷 宏
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2023 年 62 巻 2 号 p. 105-110

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抄録

背景:Primary effusion lymphoma(PEL)は,明らかな腫瘤形成をせずに体腔内で増殖するまれな HHV-8 陽性の大細胞 B 細胞性リンパ腫である.一方,本邦で報告されている多くの体腔内リンパ腫は HHV-8 陰性を示し,PEL-like lymphoma(PEL-LL)などと呼ばれている.今回われわれは,多分葉核が目立つ異型細胞が胸水中に出現し,PEL-LL と考えられた一例を経験したので,細胞所見を中心に文献的考察を含めて報告する.

症例:70 歳代,男性.呼吸困難を主訴として当院を受診し,胸部 CT にて左大量胸水がみられた.胸水細胞診では,多分葉核が目立つ N/C 比の高い異型細胞が孤在性に多数認められ,悪性リンパ腫と診断された.胸水セルブロックにおける検討や,画像的に明らかな腫瘤形成を認めないこと,血中 HHV-8 が陰性であることから,最終的に PEL-LL と考えられた.

結論:通常の DLBCL において多分葉核が目立つことはまれであるため,多分葉核が目立つ異型を伴ったリンパ球様細胞が体腔液中にみられたときには,PEL や PEL-LL の可能性を考慮する必要があると考えられた.

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