日本臨床細胞学会雑誌
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症例
液状化検体細胞診で診断した子宮頸部明細胞癌の 1 例
窪田 恵美北薗 育美岩切 かおり切田 ゆかり田崎 貴嗣東 美智代簗詰 伸太郎小林 裕明谷本 昭英
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2023 年 62 巻 6 号 p. 287-292

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抄録

背景:子宮頸部原発明細胞癌はまれであり,液状化検体細胞診(liquid-based cytology:LBC)の細胞像の報告はほとんどない.われわれは,LBC 標本で診断しえた子宮頸部明細胞癌の 1 例を経験したので,塗抹標本所見との異同および他の腺癌との鑑別点について検討し報告する.

症例:70 歳代,女性.約 1 年前より持続する性器出血があり,子宮頸部のポリープ状腫瘍を指摘された.擦過細胞診および組織診で明細胞癌と診断された.LBC 標本では,異型細胞が重積性のある集塊状や孤立性に認められ,腺腔構造や乳頭状構造および hobnail 状の核の突出も認めた.異型細胞の核は軽度の腫大を示す類円形を呈しており,大型で明瞭な核小体を認め,細胞質は豊富で,淡く微細顆粒状を呈していた.

結論:LBC 標本においても,塗抹標本と同様に明細胞癌の特徴とされる,大型で明瞭な核小体および豊富な細胞質を有する異型細胞を認め,LBC 標本で明細胞癌の診断を行う際にも重要な細胞所見である.

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© 2023 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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