2024 年 63 巻 3 号 p. 113-118
検査技術の進歩やがんゲノム診療時代を迎え,呼吸器細胞診の役割が大きく変化している.このような変化に対し,本邦では 1978 年から用いられてきた肺癌細胞診診断の 3 段階分類を見直す必要が生じたため,2017 年に日本肺癌学会と日本臨床細胞学会が共同で「肺癌細胞診の診断判定基準の見直しに関する合同ワーキンググループ」を設立し,判定基準の再検討と新たな基準が提唱された.さらに,2020 年からは World Health Organization(WHO),International Agency for Research on Cancer(IARC),International Academy of Cytology(IAC)が主体となって国際的呼吸器細胞診報告様式が検討され,2022 年末にその成果が WHO Reporting System for Lung Cytopathology として上梓された.この報告様式の主たる特徴としては,①WHO 組織分類との整合性をとっていること,②編集は Standing committee,Expert editorial board,Editors,Authors,Co-authors から構成されていること,③Key diagnostic features,Risk of malignancy(ROM),補助検査,診断・治療における推奨を含むこと,そして,④判定カテゴリーごと,かつ,採取方法ごとにマネジメントを示していること,の 4 点が挙げられる.今後は,WHO 呼吸器細胞診報告様式の目的は精度管理と実地臨床への応用であることを理解のうえで細胞診判定を行うことが要求される.それらに加えて,細胞診検体を用いた免疫細胞化学的染色や分子生物学的な検索などの補助検査を組み合わせることにより,細胞診を呼吸器疾患の診断・治療に役立てていくことが一層期待される.