2024 年 63 巻 5 号 p. 249-256
背景:原発性体腔液リンパ腫(PEL)は,主に免疫不全の患者に発生するまれな B 細胞性リンパ腫である.一方,本邦で報告されている多くは,免疫不全のない HHV-8 陰性の体腔液貯留を有する高齢者であり,PEL 様リンパ腫(PEL-like lymphoma)と呼ばれていた.最近 PEL 様リンパ腫は PEL とは独立して fluid overload-associated large B cell lymphoma(FO-LBCL)と名付けられた.今回 FO-LBCL の 2 例を経験したので報告する.
症例:症例 1:70 歳代,男性.心不全の増悪で入院し,多量の心囊水を認めた以外は,画像的に腫瘤性病変を認めなかった.症例 2:70 歳代,男性.肺癌術後経過観察していたところ胸水貯留.全身検索にて肺癌の再発やその他の病変はみられなかった.細胞像は,いずれも豊富な弱塩基性細胞質で,強い核異型と高度の多形性を示していた.多分葉核の大型細胞も混在していた.セルブロック標本での免疫組織化学的検査にて,腫瘍細胞は B 細胞表面抗原は陽性,HHV-8 と EBER-ISH は陰性であり,FO-LBCL の診断に至った.
結論:体腔液中に悪性リンパ腫を疑う細胞を認めた場合,他部位に生じた二次的浸潤のほか,PEL や FO-LBCL の可能性を含めた精査が必要である.確定診断には免疫染色や遺伝子検索が必須である.