2025 年 64 巻 2 号 p. 88-93
背景:傍神経節腫は副腎以外の傍神経節組織より発生する粘膜下腫瘍であるため通常,腫瘍細胞自体が自然尿や膀胱洗浄液中に出現することはきわめてまれである.われわれは膀胱洗浄細胞診内に観察された傍神経節腫の 1 例を経験したので,その細胞像を中心に報告する.
症例:50 歳代,男性.他院にて数年前より膀胱腫瘍を指摘されるも良性腫瘍として経過観察されていた.数ヵ月前より血尿および腫瘍の増大を認め当院に紹介受診となった.膀胱洗浄細胞診にて清浄な背景内に微細顆粒状の細胞質と粗大顆粒状のクロマチンを有する N/C 比の高い異型細胞が散在性に出現していた.2 核~多核細胞も認められた.異型細胞の出現が少数であり結果は疑陽性(由来不明の異型細胞).その後,膀胱鏡検査にて後壁の粘膜下に隆起性腫瘤を認め経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)を施行.病理組織学的に膀胱原発傍神経節腫と診断された.
結論:膀胱洗浄細胞診内の腫瘍細胞は,1)微細顆粒状の細胞質を有し N/C 比が高いこと,2)核は類円形で微細なクロマチンを有し核小体は目立たないこと,3)2 核~多核細胞が出現することが特徴であった.