日本臨床細胞学会雑誌
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症例
尿管に発生した腺様囊胞癌の特徴を伴う類基底細胞型扁平上皮癌の 1 例
成富 真理畠 榮物部 泰昌小林 博久日野 寛子藤原 英世秋山 隆
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2025 年 64 巻 3 号 p. 142-147

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抄録

背景:尿管に発生した類基底細胞型扁平上皮癌の 1 例を報告する.

症例:80 歳代,男性.左水腎症のため,当院泌尿器科紹介受診.尿細胞診で異型細胞を指摘し,経尿道的腫瘍切除で類基底細胞型扁平上皮癌と診断した.左腎尿管全摘術施行,腫瘍より穿刺吸引細胞診を行った.散在性あるいは結合性の緩い篩状の集塊で出現し,核は楕円形~類円形で均一,クロマチンは細顆粒状で増量した基底細胞様の細胞がみられた.篩状の細胞間には腺様囊胞癌の特徴として知られている粘液球様の細胞外基質を認めた.左腎尿管全摘組織所見は,左尿管下部,膀胱入口部付近に 4.7×3.4×3.2 cm 大の分葉状隆起性腫瘤が,尿管内を充満し上行性に増殖していた.基底細胞類似の腫瘍細胞が篩状胞巣を形成し浸潤増殖していた.免疫染色では類基底細胞からなる胞巣は p40,p63 が陽性であった.類基底細胞型扁平上皮癌と診断した.

結論:泌尿器系に発生する類基底細胞型扁平上皮癌は非常にまれであるが,膀胱鏡後尿やカテーテル尿など機械的な操作により出現する可能性があるため,腺様囊胞癌の特徴を伴う細胞像が認められた場合には本症を念頭におき診断する必要がある.

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