日本臨床細胞学会雑誌
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高齢婦人子宮頸上皮内腫瘍由来と考えられる巨大裸核状細胞に関する考察
関本 昭治加藤 敬三小野 聡羽生 忠義
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1981 年 20 巻 3 号 p. 509-513

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抄録
146, 492例の集団検診細胞診検体において10例に変性した巨大裸核状細胞 (仮称) を認め次のごとき一定の背景を有する症例にのみ出現することが判明した. (1) 1例を除きすべて閉経婦人で平均年齢56.7歳と比較的高齢者に属する. (2) コルポスコピー上すべてUCF例である. (3) 通常の狙い生検診では病巣捕捉は困難であり頸管内掻爬, 円錐切除, 単摘等により確認された病巣はすべて中等度異型上皮以上の所見を示す. この10例の細胞診追跡はのべ55回実施し巨大裸核状細胞は19回に出現した. 一方ectocervixに病巣を確認し得る, non-keratinizing large cell typeの7例 (すべてIa期) より採取した22枚の細胞診検体では1検体のみにしか出現をみなかった. すなわち巨大裸核状細胞は子宮頸管内に潜伏する子宮頸上皮内腫瘍に由来し異型細胞が頸管内に剥離する直前あるいは直後に変性膨化し裸核状形態をとり出現すると考えられた. こうした巨大裸核状細胞が出現した場合, 他に異型細胞が認められなくともクラスIIIbと解釈すべきものと考えられ, 高齢婦人に対する集団検診の一連の操作にあたっては特別の配慮を加えなければならない.
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