日本臨床細胞学会雑誌
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肺過誤腫の細胞診
由佐 俊和門山 周文馬場 雅行柴 光年佐藤 展将山口 豊堀内 文男大岩 孝司鎗田 努斎藤 博子岡本 達也
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1982 年 21 巻 1 号 p. 26-33

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抄録

肺良性腫瘍のうちで最も頻度の高い過誤腫は悪性腫瘍との鑑別, 手術術式の選択において術前に確定診断を得ることが極めて重要である. われわれは肺過誤腫の診断における針生検法の有用性と本腫瘍の細胞所見の特徴について検討を行った.
軟骨性過誤腫12例, 非軟骨性過誤腫2例の経皮的および直視下針生検標本についてその出現細胞の検討を行ったところ, 21検体のうち軟骨細胞は軟骨性過誤腫の全検体にみられ, 上皮細胞は18検体に, 組織球は14検体にみられた. その他間葉系の紡錘型細胞, リンパ球, 多核白血球, 脂肪細胞がみられた. 軟骨細胞は多数が塊状の集合をなしているものが多かったが, 線維性あるいは微細な網状構造の中に散在性にみられる場合もあった. 上皮細胞は正常もしくは増生を示す気管支上皮細胞に類似する所見がみられ, 軽度の異型性を示す細胞もみられたが悪性細胞との鑑別は可能であった. 病理組織像との対比では針生検法による出現細胞はその組織成分をよく反映しており, 特に軟骨性過誤腫の場合多くの症例で診断可能であった.
針生検細胞診は肺過誤腫の診断において極めて有用な方法であると考える.

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