胆嚢疾患における細胞診所見と組織学的所見との関連性を追究するため, 術中に得られた胆汁の細胞診所見と胆嚢の組織像とを対比し検討した. 対象症例は101例で, 細胞診では上皮細胞の剥離状態, 炎症細胞 (多核白血球, リンパ球, 組織球) や壊死等を検索した. 他方, 胆嚢をほぼ正常, 軽度炎症, リンパ濾胞性炎症, 急性閉塞性炎症, 慢性閉塞性炎症および癌の6型に大別した.
その結果, 両者にはつぎのようなおおよその関連性がうかがえた. 上皮細胞のみの出現はほぼ正常例に, 上皮細胞と壊死は軽度炎症例に, この上皮細胞と壊死に加えて比較的リンパ球が目立つ所見はリンパ濾胞性炎症例に, 上皮細胞, 壊死に著しい炎症細胞 (白血球, 組織球) は急性閉塞性炎症例に, そして比較的少郊の上皮細胞, 壊死および組織球性巨細胞の出現は慢性閉塞性炎症例にみられた.