日本臨床細胞学会雑誌
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胸水中のTリンパ球について
社本 幹博舟橋 正範村田 供爾子
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1982 年 21 巻 1 号 p. 43-49

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抄録

悪性腫瘍患者, 慢性疾患患者の胸水中に, ある時期, 核形不規則でややN/C比大の若干幼若なリンパ球が, 極めて高頻度に出現してくる症例に遭遇することがある. これらのリンパ球は形態学的, 免疫学的, 細胞化学的検索からTリンパ球であることが判明した. これら胸水中のTリンパ球の比率は, 末梢血中に認められるTリンパ球の比率より極めて高い. 一方, 胸管リンパ液はほとんど100%Tリンパ球で占められている. 胸管が腫瘍の圧迫等のため狭窄, 閉塞, あるいは破損したため, 胸管ないしその分枝からTリンパ球が漏出してきた可能性が強いと考えられる.

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