日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
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ISSN-L : 0387-1193
Localization of Placental Alkaline Phosphatase in Cultured Choriocarcinoma Cells
Immuno-and Enzyme Cytochemical Observations
Mitsuaki SUZUKIHiroyuki KURAMOTOShinichi IZUMIKeiichi WATANABE
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1982 年 21 巻 2 号 p. 160-166

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抄録

絨毛癌は, 由来する胎盤に類似して, human chorionic gonadotropin (HCG) をはじめとする諸ホルモン, ならびに胎盤性alkaline phosphatase (ALP) 等の酵素を産生, 分泌する. しかしながら, これらの特異ホルモン, 酵素の細胞内局在に関する研究はあまりなされていない. そこでわれわれは, 教室にて樹立された絨毛癌細胞, GCH-nu株を用い, HCGならびにALPの細胞内局在を免疫細胞化学的に検索した.
RCGは, およそ50~70%のGCH-nu細胞の細胞質内にその存在が確認され, BeWo株に比べかなり多くの細胞でHCG産生が営まれていることがわかった.
またGCH-nu細胞の産生するALPは, 生化学的ならびに免疫学的検索から胎盤性ALPであることが証明され, その細胞内局在は主として細胞表面のmicrovilli表層のglycocalyxであることが判明した. 一方, この胎盤性ALPに関しては, 免疫細胞化学と酵素細胞化学との間で, その発現様式に差が認められた. すなわち, 免疫細胞化学的検索ではほとんどすべてのGCH-nu細胞に胎盤性ALPが認められたのに対し, 酵素細胞化学的検索では細胞がpileupしている部位を中心に, 一部の細胞にのみ活性が確認された. このことは, 酵素活性を示さない細胞の中にも抗原性は有するものが存在することを示すものであり, 細胞内における酵素等の存在を検索する上では, 酵素細胞化学だけではなく免疫細胞化学的検索も行う必要のあることを意味する.

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© The Japanese Society of Clinical Cytology
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