日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
Flow-cytometryによる子宮腟部正常扁平上皮細胞の核DNA量
天野 悦男杉田 道夫杉下 匡天神 美夫石田 禮載阪口 耀子佐藤 和子
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 21 巻 2 号 p. 167-175

詳細
抄録

子宮膣部の正常剥離細胞に主眼をおき, その成熟度の異なる細胞間のDNAヒストグラムでの相違点を, さらに異常細胞との鑑別点をつかみ, Impulse Cytophotometer 11型による細胞解析と臨床応用への可能性をさぐった.
Papanicolaou染色によるsmearのmaturation-indexで, 左方移動85%以上のA群11例, 中央移動85%以上のB群28例, 右方移動85%以上のC群16例, 妊娠2~3ヵ月のD群17例の計72例につき検討し, 次の結果を得た.
1) 核DNA量は, A群で最大で, B群D群の順に減少しC群で最小である.
2) A群では50channelを, B, C, D群では45channelを超えない. C群では35channelまでのものがある.
3) 全群をとおして, (3C+4C)/Total比は7.8を, 4C/2C比は2.2を, 4C/S比は3.2を超えない.
4) A, B, D群で少数ながら分裂相細胞を, さらにC群では濃縮核細胞の存在を示唆した.
5) 子宮癌に関するFlow-cytometryの臨床応用では, (3C+4C) を含む4Cを超える部分に注目していけば, 正常細胞の存在量のいかんにかかわらず, 測定上有意の差をもって判定可能であると考えられる。

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top